大阪地方裁判所 昭和54年(行ク)60号 決定 1979年12月24日
申立人 萬代博三
被申立人 大阪府公安委員会 ほか一名
主文
本件申立てを却下する。
申立費用は申立人の負担とする。
理由
一 本件申立ての趣旨及び理由は別紙のとおりである。
二 当裁判所の判断
(一) 疎明資料によると、申請の理由第一項記載のとおり、申立人が、被申立人らに対し集団示威運動又は集団行進の許可の申請をしたところ、被申立人らはその許可申請を却下したことが、一応認められる。
(二) ところで、本件疎明資料によつて一応認められる集団行進のため通行予定の道路の午後五時ないし六時三〇分ころの状況、右道路付近の地区の特殊性、参加見込者の特長などを考慮すると、集団行進がその許可申請どおりの時間、場所で行われていた場合には、右道路において著しい交通の妨害となるおそれがあると一応認められるから、被申請人西成警察署長が道路交通法七七条により申請人の許可申請を却下したことは正当であり、同条が憲法に違反すると解することはできない。
したがつて、被申請人西成警察署長の却下処分の効力停止を求める部分の本件申請は、その本案につき理由がないとみえるから、行訴法二五条三項後段により却下すべきである。
(三) 右のとおり、道路交通法七七条による許可申請却下処分の効力停止が認められない以上、被申請人大阪府公安委員会の行進及び集団示威運動に関する条例に基づく許可申請却下処分の効力停止があつたとしても、申請人の集団示威運動を適法に行うことはできないのであるから、被申請人大阪府公安委員会の右許可申請却下処分の効力停止を求める利益は存しない。したがつて、この部分の効力停止申請は却下すべきである。
(四) 結論
申請人の本件各申請を却下することとし、申請費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条により申請人に負担させることとして主文のとおり決定する。
(裁判官 古崎慶長 井関正裕 小佐田潔)
別紙 <略>